常識を疑う

「そんなの、常識だよ！」

この一言。
とても不思議な力を持った一言だと思いませんか？

こう言われてしまうと、少し違うような気がしていても、
なんとなく信じてしまいそうになるものです。


「そんなことありません！
私は常識に囚われない人間ですから。」

という方でも、

「これは、○○学会の研究者たちの間では常識なんですよ。」

と言われてしまうと、これは信じてしまうのではないでしょうか？
（私なら信じてしまいそうです……。）

このように、常識とはとても不思議な力をもった言葉なのです。

そして、私たちの生活に良くも悪くも
大きな影響を与えている言葉でもあるのです。

それは、時に私たちの人生を大きく変えてしまうほどの影響力になります。

「常識」とは、いったい何なのでしょうか？

ところで、この常識とはいったい何なのでしょうか？
一応、しっかりと確認しておきましょう。

辞書によれば、常識とは

ある社会で、人々の間に広く承認され、当然もっているはずの知識や判断力。

という意味です。

ポイントとしては、「ある特定の社会で通用するということ」と、
「（その社会で）多くの人が認めているということ」でしょう。

つまり、

「常識とは、ある特定の社会でしか通じないもので、
しかも、単に多くの人に正しいと信じられているだけ。」

ということになります。

常識だからといって、決してそれが正しいとは限らないのです。

にも関わらず、私たちは「常識」と言われると、つい信じてしまいそうになります。
だから、「常識」という言葉には不思議な力があると書いたのです。

常識の功罪

では次に、常識が私たちの生活にどう影響するのか考えましょう。

常識の良い面として、社会生活をスムーズに
送るために役に立つということがあります。

例えば、相手に嫌な思いをさせないような言い回しや、
他の人に迷惑を掛けないような立ち振る舞いなどが
これにあたるでしょう。

このように常識は、役に立つ側面があるのは間違いないでしょう。


一方で、良くない面があるのもまた否定しがたい事実です。

それは、最初に書いたように、常識だと言われてしまうと、
それが正しいかどうかに関わらず信じてしまいやすいということです。

そして、その常識が間違っていたときには、
人の生活大きな悪影響を与えることがあります。

例えば、少し前の日本には、

「土地の値段は永遠に上がり続けるという常識」

や、

「一度正社員として入社してしまえば、
あとは一生会社が面倒をみてくれるという常識」

が存在しました。

この土地神話を信じ込んでしまい、
莫大な借金をして土地を買い込んでいた人は
土地神話の崩壊後に大変な思いをしました。

また、終身雇用神話を信じ込んでしまい、
自分の人生を会社に任せっきりにしてしまった人で、
終身雇用神話の崩壊後に大変な思いをした人も多いでしょう。

このように常識だからといって、無条件に信じてしまうと、
大変な目にあってしまうこともあるのです。


「常識」の弊害はそれだけではありません。

人間や世の中が、良くなること・発展することは変化することです。
にも関わらず、常識という過去の価値観の寄せ集めに
囚われていたのでは、発展はありえません。

では、より根本的な問題は何なのでしょうか？

それは、「常識」という言葉に、自分の頭で考えることを
忘れさせてしまう力があるからでしょう。

もっと言えば、楽をしたいがために、
「常識」という言葉を利用して、自分の頭で考えることから
逃れようとする人間の弱さが問題なのでしょう。

どんなことでも、

「そんなの常識ですよ。」
「それが伝統というものだよ。」
「ずっとそうやってきたんだから、それに従ってください。」

こう言って片付けてしまえば、
こんなに楽なことはありません。

ですが、こんなことを言って常識に囚われていると、
その常識が間違えていたときに大変な目に
会ってしまうかもしれません。

そして、常識に囚われている限りは、少なくともそのことに関しては、
より良くしていくような変化を起こすことはできないでしょう。

自分の頭で考えよう

だからこそ、自分の頭で考えることが大切なのです。

あなたにとって大切なこと、あなたに大きな影響を与えるものから順番に、
あなたの価値観を見直してみてください。

そして、常識の良い面と悪い面のバランスをとるようにしてみてください。

きっと、あなたの人生に良い影響を与えてくれるでしょう。